スタミナ倍増、肝機能強化と糖尿病予防に焼肉やニンニクより「タウリン」?
■タコとスタミナ増強や肝機能強化の意外な関係とは?
スタミナをつけるには焼肉やニンニクと決まっているようですが・・・
じつは、「タコ」が効くって知ってましたか?
意外と思うかもしれませんが、タコといえば・・・
そう、関西のたこ焼きに使われる、足が八本のあの「タコ(蛸)」です。
タコの刺身をはじめ、タコの唐揚げ、タコのやわらか煮、タコの天ぷら、
いろいろ料理法はありますが、どれがお好みでしょうか?
ちょっとお洒落に、イタリア風タコのオリーブオイル炒めとか、
スペイン風にタコのアヒージョなんてのも、美味しいですね。
その「タコ(蛸)」が、スタミナアップと、どんな関係があるのか?
ちょっと気になりますよね。
じつは、タコが持っているある成分が、スタミナアップやパワーをつけるのに、
重要な役割を果たしていることが分かってきたのです。
その成分が秘めている驚きのパワーを知れば、
ビックリすること請け合い。
改めてタコの魅力を見直して、
タコをもりもり食べてみたくなるに違いありません。
以前、NHKの「ためしてガッテン」という番組で、
スタミナアップの秘訣について紹介されたことがあります。
「最近、体力がなくなった」「無理がきかなくなった」、
「ここいちばんという時にパワーが出ない」
そんな、体力の衰えと疲れやすさを実感している方。
NHKの「ためしてガッテン」では、疲れにくい体のカギ、
スタミナを左右するのはズバリ、細胞内の「ミトコンドリア」だと紹介していました。
この「ミトコンドリア」を増やすことが、活力や持久力を向上させる決め手だ、と。
え? タコじゃなくて、ミトコンドリア?
はい、話の順序として、もう少し聞いてください。
ミトコンドリアとは、ほとんどの細胞の中に含まれていて、
生体内のエネルギーを作り出す大切な小器官で、
その働きは「体を動かすエンジン」だといわれています。
ミトコンドリアは一つの細胞に数十から数万という数で含まれていて、
細胞の中で呼吸をしてエネルギーを生産しているのです。
私たちが肺から吸いこんだ酸素は、血液によって体内の細胞に運ばれ、
ミトコンドリアによって糖や脂肪を燃やす燃料として使われています。
糖や脂肪などを分解していく過程でエネルギーが発生し、
そのエネルギーを利用して体温が保たれ、運動するパワーが生まれるのです。
人間は年を取るにしたがって、このミトコンドリアが減ってしまい、
若い頃のようなスタミナがきかなくなってしまうのです。
「最近、体力がなくなった」「無理がきかなくなった」
というのは、ある意味で自然ななりゆきなのです。
では、スタミナアップを望むのは無理なのか?
いいえ、じつは研究の結果、新たな事実が明らかになったのです。
それは「エネルギー不足の状態」をわざと作ってあげると、
ミトコンドリアを増やす細胞のスイッチがオンになるというんですね。
たとえば運動なら、たった1分「ちょいキツ」の動きをするだけでOK。
また、食事のカロリーを抑えたり、空腹の時間を長くとることでも、
ミトコンドリアはぐんと増えてくれるのです。
さらに、「食事によってミトコンドリアを増やす」という、
とっておきの方法があるんです。
■ミトコンドリアが減ると心臓や肝臓にも大きな影響が及ぶ
じつは「体を動かすエンジン」としてのミトコンドリアは、
「カロリー制限」をしたり、「空腹感を感じる」ことでも増やすことができます。
これは、私たちの体の中で「長寿遺伝子」というものが働くためだと考えられています。
つまり、栄養が足りないというSOSを感じて、
ミトコンドリアが活発に動きはじめるのです。
逆に食べ過ぎると、ミトコンドリアがエネルギーを生み出すのに必要な量より、
糖や脂質を摂取することになって、「メタボ」の危険が高まってしまうのです。
もしも、ミトコンドリアが活動しなくなってしまうと、
個々の細胞の働きが低下したり、細胞が消滅したりします。
それが全身の細胞にも起きる可能性があるので、
脳卒中や発達の遅れなどの脳の症状、物が見えにくい、音が聞こえないなどの感覚器の症状、運動ができない、疲れやすいなといった症状が起こってくるのです。
中でも、比較的エネルギーを多く必要とする神経や筋肉、
心臓や肝臓といった臓器に症状が現れやすいと考えられています。
では、食べてミトコンドリアを増やす方法とは何か?
その食材が、「タコ」だったんですね。
ミトコンドリアを増やし、その働きを助ける栄養素として、
タコに含まれる「タウリン」が注目されているのです。
では、その「タウリン」とは、いったい何でしょうか?
■タコ」がトップクラスでタウリンの含有量を誇る
じつは、タウリンは、タコやイカ、貝類などに多く含まれる成分です。
(表1参照)
表1 食品100gあたりのタウリン含有量
真ダコ |
900~1670mg |
やりいか |
700mg |
カツオ |
160~830mg |
鰤(ぶり) |
180~670mg |
真アジ |
230mg |
この表のように、100gあたり900~1670mgと、
魚類の中では、「タコ」がトップクラスの含有量を誇っています。
タウリンは人間の体内にもあって、筋肉、脳、眼の網膜、
心臓や肝臓などの臓器にも、高い濃度で含まれています。
とくに哺乳動物の成長に重要な栄養素で、母乳の中にも存在し、
脂質の消化・吸収に直接関与しているんですね。
また、タウリンには身体や細胞を正常な状態に戻そうとする作用があり、
血圧が高いと下げ、肝臓の働きが鈍っていると高める働きがあります。
つまり、スタミナアップの栄養素として重要なのがタウリンというわけです。
タウリンの主な作用としては、
1・肝臓の炎症を抑え、肝機能強化する。
2・インスリン分泌を促し、糖尿病を予防する。
3・心臓の筋肉を保護し、強心作用。
4・血圧を下げ、上昇を抑える。
といった作用があります。
こうした作用によって、タウリンが疲労回復、スタミナアップに役立っているわけです。
ところが、タウリンは1日3,000mg~6,000mgが必要なのですが、
1日の食事から摂取できている量はというと・・・、
わずか50mg~250mgほど。
圧倒的に不足しがちな成分だといえます。
ということは、積極的にタウリンの多い食品を摂ることが、
スタミナアップ、パワー増強につながるというわけです。
■戦時中の兵士の疲労回復・スタミナ増強にもタウリンを利用
タウリンに関しては、こんなエピソードが残っています。
かつての太平洋戦争中、日本海軍はタウリンの疲労回復機能に注目して、
タウリンの確保のため、全国の「タコ」の加工場からタコ煮汁を回収したことがあるとか。
その目的は、戦時中の兵士の疲労回復・スタミナアップと、
夜間の行動における視力向上を狙ったものだったというのです。
すでに、当時から「タコ」のスタミナ増強力が注目されていたわけですね。
しかも、「タコ」には、抗酸化作用が強いことでも知られるタウリンのほか、
コレステロールを低下させる「シトステロール」という成分も含まれています。
このほか、ビタミンEも含まれ、活性酸素から細胞を守り、がんの発生を抑制し、
老化防止、女性の更年期障害の予防・改善にも有効だということが分っています。
また、「たこ」には、インスリンの構成成分で、細胞の新生や再生、
血糖値の高い人におすすめの食材です。
さらには、高たんぱく低カロリーなので、
ダイエットにも絶好の食べものなんですね。
スタミナアップ効果のほかに「タコ」のタウリンが優れている点は、
体の中で必要なところのみ効果を発揮し、不要なところでは何も作用しないという点です。
摂り過ぎた分は尿と一緒に体外に排泄されるので、
摂り過ぎても心配はないんですね。
■タコに含まれる「タウリン」が肝機能強化と糖尿病を予防
ここで、もう一度、まとめておきます。
スタミナをつけるにはニンニクと思いがちなのですが、
じつは、意外にも「タコ」がスタミナパワーの秘訣だということが分ってきました。
NHKの情報番組「ためしてガッテン」では、疲れにくい体のカギ、
スタミナを左右するのはズバリ、細胞内の「ミトコンドリア」だと紹介していました。
「ミトコンドリア」が、活力や持久力を向上させる決め手で、
それを強力にサポートしてくれる食べ物が、なんと「タコ」!
その働きを助ける栄養素として、注目されているのです。
さらには、肝機能強化と糖尿病を予防にも効果を発揮。
「タコ」はスーパーでも簡単に買えますし、料理のバリエーションも豊富。
日頃から手軽に摂取しやすい食品です。
毎日の食卓に、タコの刺身やタコの唐揚げ、タコのやわらか煮といった、
タコ料理を並べれば、スタミナアップになることは間違いありません。
ただし、注意点がひとつ。
タウリンは水溶性のため、煮ると溶け出します。
したがって、煮汁もしっかり飲むことがポイント。
スタミナアップに、「タコ」のパワーを見直してみたいと思います。