がんの予防と死亡リスク低下にコーヒー成分のクロロゲン酸がパワーを発揮
■コーヒーが「肝臓がん」の発症リスクを
半分にする?
食後のひとときに一杯のコーヒーは欠かせない・・・
という方、
江戸時代に来日し、長崎のオランダ商館で近代西洋医学を伝えた
あのシーボルトが、
「コーヒーは長寿の良薬である」と言っていたのを知ってますか?
シーボルトは、日本にコーヒーを飲む習慣がないのが不満だったようですが、
じつは、彼が薦めていたとおり、
コーヒーには「がん」の予防や死亡のリスク低下に効果があることが
最近の研究の結果、明らかになりました。
東京薬科大学名誉教授の岡希太郎先生によれば、
効果がもっとも高いのは、「肝臓がん」で、
コーヒーをほとんど飲まない人と比べると、毎日飲む人の発症率は、
なんと、半分だということです!
しかも、効果があるのは「肝臓がん」だけではなく、
「口腔咽頭がん」「子宮体がん」「前立腺がん」なども、
コーヒーを飲むことで発症リスクを抑えることができるということなんですね。
コーヒーを飲むだけで「がん」を予防し、発症リスクを抑える秘密とは?
いったい何か・・・と調べてみました。
■死亡リスクを減らすには1日3~4杯のコーヒーが効果的
コーヒーのさまざまな効果が明らかになりつつありますが、
それを裏付ける研究が「国立がん研究センター」から発表されています。
センターでは、コーヒーの摂取に関する死亡リスクとの関係について、
長い間、調査研究を続けているんですが・・・
コーヒーをほとんど飲まないグループの全死亡リスクを基準に、
コーヒーを5杯以上飲むグループとの比較をしたところ、
図1のような結果が出ました。
死亡リスクの危険度は、1日1杯未満で0.91、1日1~2杯で0.85、
1日3~4杯で0.76、1日5杯以上で0.85となっています。
つまり、1日3~4杯のコーヒーを飲む人たちの死亡リスクが
「もっとも低い」という結果になったんですね。
また、東京薬科大学名誉教授の岡希太郎先生の研究でも、
以下のような「がん」予防効果に関する研究結果が報告されています。
病名 |
発症リスク |
肝臓がん |
0.50 |
口腔咽頭がん |
0.64 |
子宮体がん |
0.74 |
前立腺がん |
0.79 |
大腸がん |
0.89 |
(ほとんど飲まない人の発症リスクを1として)
この結果を見ると、コーヒーをほとんど飲まない人に比べて、
毎日飲む人の「肝臓がん」の発症リスクは、
なんと、0.50。
発症リスクを半分に抑えられるというわけです。
では、コーヒーのどんな成分に、その効果があるのでしょうか?
■コーヒーのクロロゲン酸の抗酸化作用が「がん」予防に有効
コーヒーには、クロロゲン酸が豊富に含まれています。
クロロゲン酸とはワインにも多く含まれるポリフェノールの一種で、
コーヒーの褐色や苦味、香りのもとになっています。
ポリフェノールとは植物が作り出す抗酸化物質で、
ココアのカカオポリフェノールなどは、ポリフェノールの仲間です。
じつは、クロロゲン酸はコーヒー豆の中に5%~10%近く含まれていて、
含有量はカフェイン(1%~2%)よりもずっと多いんですね。
このクロロゲン酸が持っている抗酸化作用が、
がんなどの予防に有効であると注目されているわけです。
実際にコーヒーに含まれる量を比較グラフにしてみると・・・
このグラフの通り、
コーヒー1杯(約140cc)には約280mgのポリフェノールが含まれ、
赤ワインとほぼ同じくらい、お茶の約2倍にも相当するんですね。
■がん予防のほかに糖尿病予防や老化抑制、コレステロールを抑制
クロロゲン酸は「コーヒーポリフェノール」とも呼ばれ、
コーヒー独自の成分として注目されています。
コーヒーというとカフェイン成分が有名ですが、
いま脚光を浴びているのは、このクロロゲン酸です。
そのクロロゲン酸の持つ効果・効能の代表的なものが、
抗酸化作用。
ストレスなどで強い力を持った酸素が体内に過剰に発生したとき、
クロロゲン酸は、酸化のダメージから細胞を守ってくれるんですね。
先ほども書いたとおり、
1日3~4杯のコーヒーを飲む人たちの死亡リスクが「もっとも低い」
という結果になった理由がここにあるわけです。
では、「肝臓がん」や「口腔咽頭がん」「子宮体がん」「前立腺がん」
などのほかに、クロロゲン酸にはどのような効果・効能があるのでしょうか?
たとえば・・・
糖尿病の予防
クロロゲン酸が糖尿病の原因となる糖の生成を抑えてくれ、
生活習慣病を予防することができます。
老化抑制作用
老化は体の錆び、つまり酸化が原因ですが、
クロロゲン酸が酸化を防ぎ、アンチエイジングで若さを保ってくれます。
コレステロールを抑制
クロロゲン酸が善玉コレステロールの機能を高め、
余分なコレステロールを肝臓に戻して正常化する働きをします。
血糖値の上昇を抑制
クロロゲン酸が血糖値の上昇を抑え、
糖尿病を予防する働きをしてくれます。
では、コーヒーをどんなとき、どんなふうに飲んだらいいのでしょうか?
■がん予防に深煎りと浅煎りをブレンドしたコーヒーがポイント
「コーヒー博士」とも呼ばれる東京薬科大学名誉教授の
岡希太郎先生によれば・・・、
「豆は深煎りと浅煎りをブレンドしたものを使うのがポイント」とか。
深煎りと浅煎りをブレンドすることによって、
コーヒーが持っている体に役立つ効果を幅広く得ることができるんですね。
つまり、コーヒー豆の「種類」や「産地」ではなく、
「煎り方」がポイントになるわけです。
なぜコーヒー豆の煎り方が重要なのかといえば・・・、
焙煎コーヒーの中には、
体に吸収されニコチン酸と似た働きをする物質が含まれます。
この物質はお腹の中に吸収されると肝臓で代謝され、
やがて高脂血症治療薬としても使われる化合物に変化するんですね。
こうした働きをする物質は1種類だけではなく、
「脂質代謝の改善」「血液をさらさらにする」「血管を保護する」など、
何種類も存在していて、これが焙煎度とともに変化していきます。
つまり、煎り方の違うコーヒーが複合的な効果を発揮する。
ということは、がんを予防する効果を期待するなら、
深煎りと浅煎りの絶妙なブレンドがもっとも重要というわけですね。
では、コーヒーはどんな時に飲めばいいのでしょう?
■コーヒーを飲むタイミングは食前か食事中がベスト
コーヒーの効き目を発揮させるにはタイミングが重要だ、
と「コーヒー博士」の岡希太郎先生は指摘しています。
ふつう、コーヒーを飲むタイミングは食事が終わって、
ほっと一息、というときが多いようですが、
じつは、「飲むタイミングは食前か食事中がいい」とか。
なぜ食前がいいかというと・・・、
食事をするとすぐに血液はドロドロ状態になりますが、
食前にコーヒーを飲んでおくと、クロロゲン酸効果によって、
ドロドロになりにくくなるということなんですね。
でも、ご安心ください。
食後でも、効果が消えてしまうわけではありません。
食後の場合は、できれば食事のすぐ後に飲むこと、
これが効き目アップの秘訣なんだそうです。)
ここで、もういちどまとめておきます。
最近の研究の結果、
コーヒーは「がん」の予防や死亡のリスク低下に効果がある。
効果がもっとも高いのは、「肝臓がん」で、
コーヒーをほとんど飲まない人と比べると、
毎日飲む人の発症率は、およそ半分!
コーヒーをほとんど飲まない人と全死亡リスクを比較すると、
1日3~4杯のコーヒーを飲む人たちの死亡リスクが「もっとも低い」。
クロロゲン酸はコーヒー豆の中に5%~10%近く含まれていて、
含有量はカフェイン(1%~2%)よりもずっと多く、
このクロロゲン酸が持っている抗酸化作用が、がんの予防に有効。
コーヒーの飲み方としては、
「豆は深煎りと浅煎りをブレンドしたものを使うのがポイント」。
飲むタイミングは、「食前か食事中がベスト」。
今日からコーヒーの飲み方が変わりそうですね?